「世間」が流動化して、どこにでも現れるようになったものが「空気」(鴻上尚史 1958)
日本に伝統的に存在していたのは「世間」であって、
明治以降「社会」なるものが輸入された(阿部謹也 1935-2006)「社会(society)」の前提は「個人(individual)であって、
そのような概念は明治以降には存在しなかった引用:歴史学+地政学マスタークラス8より
この前の歴史学+地政学マスタークラスでの
世間と空気の話。
個人的に大ヒットだったので、
今日は備忘録的に。
世間と空気を考えるにあたって、
システム1とシステム2も
あわせて考えるという解説もあって、
「世間」はシステム1で
システム2が社会や個人をつくった。
「世間」の第一人者である
阿部謹也は日本だけでなく
欧米にも世間は存在すると
主張しているらしく、
いわゆるマイルドヤンキーと呼ばれるものも
世間だと。
システム1の世間によるものが
今のトランプの現象はふつうであって
今までシステム2を優勢にして
個人や社会をつくってきた欧米が異常だと。
で、「世間」の5つの特徴を紹介してくれたのだけど、
これがまた興味深かった。
1.贈与・互酬関係
理由はないけど贈り物をするってやつ。
持ちつ持たれつ、お互い様、もらったら返すという関係だね。
木坂さんはこの感覚が理解できないと言っていた(苦笑)
沖縄に行ってきたから現地のお土産を買ってくる、とかね。
お前はそれを食べてうまいと思ったのか、
と聞きたいと言っていた(苦笑)
木坂さんらしいね。
義理チョコなんかもそうだし、
どこかに行く時に手土産をもっていくというのもそう。
実家に帰るのにカステラをもっていくみたいなのは
欧米人には理解できないことだと。
お前の両親はカステラが好物なのか?
と思ってしまうということ。
たしかによくある話だね。
ビジネスをやるなら名刺は絶対に必要
というのも同じような世間の特徴だと。
お中元やお歳暮、内祝いなんかもこれ。
2.長幼の序
これはいわゆる年功序列ってやつだね。
「先輩の言うことは絶対だ」
ということを正しく英訳できる人はいないだろう、と(苦笑)
直訳はできたとしても、意味を汲み取って訳せない。
なぜなら、欧米にはこの感覚がないから。
え、その先輩ってそんなに実力あるの?
と、素朴に思ってしまうと話していた。
なぜ、歳上ってだけで尊敬しないといけないの?
と欧米人は思うらしい。
3.共通の時間意識
メールでよくあるこれ、、、
お世話になります〜今後ともよろしくお願いします
っていうあいさつね。
いやいや、お世話してないし、
よろしくするかどうかはこれから決めることだろ?
と(苦笑)
木坂さんはこの定型文がニガテだと言っていた。
このあいさつは、要するに
今後も時間も共有できないと仲間に迎え入れませんよ
という世間の特徴だという。
4.排他性・差別性
いじめ問題とかだね。
欧米のいじめというとジャイアンみたいなやつが腕力でって感じらしいけど、
日本はクラス全員で一致団結して無視、、みたいな、そういうのがまさに世間だと。
こういうクラス全員が一致団結してひとりをいじめるっていうことは
欧米人には説明しにくいと言っていた。
世間による独特のものなんだね。
トランプはこの排他性・差別性をうまくつかった
という話もあった。
5.神秘性
これは伝統や風習のこと。
論理的な根拠はないのだけど、
しきたりや迷信などを
たしかにマイルドヤンキーは好むように思う。
・・・以上5つ。
そしてこれらが「空気」の正体。
「世間」が流動化したものが「空気」。
グルーバル化と格差社会により、
人々の不安は大きくなり、、、
世間では支えきれない。
こういった時代の背景もあって
ここ数年の「空気」の乱用。
空気、よめ!
空気、よんでない
みたいなのも時代の流れ。
かの山本七平が空気の存在しない国はないから、
問題は「空気」の支配を許すか、許さないか、
許さないとしたらどう対処するか、
と言うことだけど、一言でいえば、、、
水をさせ!
ってこと。
絶対化させずに相対化させろ、
空気に支配されないように不安定化させることが
大切だと。
で、そのための10の道具を後半紹介されたのだけど、
今日は長くなってしまったので、
このへんで。
続きはまた気が向いたら。
島田晋輔
PS)
今日の一曲はこちら、、、
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