「5着までしか受けないようにしてるんです」
と話してくれたサルトの河合さん。
最近は中国にも受注会に行くそうだけど
5着までしか受注しないと決めているらしい。
大量受注した方が商売的には
(短期的には)儲かると思うけど
そうはしない。
アシスタントがいるとはいえ、
基本的には一人でやっているから
自分の仕事のクオリティの確保、
今いるお客さんへの満足を優先してだろう。
同じくコスタやアントニオたちもそうで、
無理に手を広げようとしない。
日本に限らず昔からロシアにも定期的に受注に行き、
この前はスペインの田舎まで行ったそうだけど
古い付き合いのある人たちばかりで
新規はあまりいないと言う。
アメリカとメキシコに住む人から
頼みたいから来て欲しいと要望があるらしいけど
どうしようかなと言っていた。
行けば確実にオーダーは取れるけど
コスタたちも今の仕事を優先する。
ヴィンテージリネンでオーダーしていた
スーツの仮縫いのとき、
あまりに僕の身体が変化していたので
もう一度仮縫いしようとなった。
受注→仮縫い→納品という工程なので
もう一度仮縫いをするとなったら
彼らとしてはめんどうだろう。
年に4回しかない貴重な1回で
仮縫いを終わらせられたら
次に納品できるわけだからね。
ウールではなく貴重なヴィンテージリネンの生地だから
というのもあるけど、お客さんに満足させたいという想いと
自分の作品を最高の状態で提供したいという
仕事の美学から。
完成品ではないから、1〜2センチだったら
まだ修正可能だけど
4センチくらい違って来てるから
またやり直すというのだ。
たった数センチのことだけど
もう一度イタリアに持ちかえってバラして
やり直す(もちろん追加料金は発生しない)。
効率的に考えたら仮縫いの時点での
誤差を持ち返って修正して納品したらいいのだけど
イメージと違って来てしまう可能性があるから
そこまでリスクを犯したくないってことだった。
単純に腹だけ出たっていう話なら
まだいいのだろうけど、初めてオーダーした6年前に比べて
胸囲で8センチ、肩で2センチ大きくなっている
とのことだった。
ドクターのように身体のことをよく見てくれているのは
手仕事ならではといった感じ。
マーケティングとかビジネスとか勉強していると
どうしても拡大思考になりがちだから
こういった仕事のサイズ感を知るのって大事だよね
とつくづく思った。
美学をもって。
生きる範囲を限定するって言う話にも
通じるね。
では、また明日。
島田晋輔
PS)
手仕事と言えば、小野さんの手仕事。
こちらも完全受注生産なので
毎月3社しか受けられないそう。
まだ4月分の空きがあるかわからないけど
興味あればこちらの資料で確認してみて。
PPS)
今日の一曲はこちら、、、
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