「描きたいもの」と「描けるもの」


作家には「描きたいもの」と「描けるもの」があるんだよ。そして、作家が「描きたいもの」は大体コピーなの。既製品の何かで、その人がそれまでの人生で憧れてきたものでしかない。

鳥嶋和彦


昨日の続きで、
今回も伝説の編集者マシリトこと
鳥嶋さんのインタビューから。

引用してる鳥嶋さんの言葉、考えは
もちろん共感しているから
取り上げているのだけど、
今日のもよくわかるなあと思うこと。

「好きなことをやるといい」とか
「自分の思うように、やりたいようにやることが一番」
なんて言われることがあるけど、
それはたいてい幻想。

「趣味」の領域をでない。

ビジネスでも表現であっても、
恋愛であっても、
他者から理解され、支持を得たければ
自分のやり方、好きな方法でやっていると
行き詰まることが多い。

がんばってるけど、
努力してるけど、
行動しているけど、
思うように結果がでない、
認めてもらえない、、、

と、嘆いているひとの話を
じっくり聞いてみると、
自分のやり方、スタイルを変えずに
なんとか評価されたい、と
もがいている人が多いように感じる。

要するに、
自分に合わせろ!今の自分をみて!
という他者への強制。

気持ちはわからなくもないけど、
他人に評価されること、
売れることが必ずしも一番良いとは
個人的には思っていなくて、、、

誰からも評価されなくても、
お客さんがゼロであっても、
自分のやり方にこだわり、
理想を追求し続けるのも
またひとつの選択であるし、
生き方だと僕は思っている。

我が道をとことんいくことに
美学を見出すのも
悪いことではないからね。

ただ、、、

(生きているうちに)
世間から評価されたい、
支持されたい、
多少は売れたい、
と、思うのであれば
他者の視点というのを
無視することはできない。

周りの人に
「あわせて!」
と強制するのではなく、
いっしょにつくりあげていくもの。

あの鳥山明であっても、
本人の描きたいものは、
申し訳ないけど、つまらない
って鳥嶋さんは言っているくらいだし(苦笑)。

ヒット作を作るために、、、

鳥山明「しか」描けないものを
いっしょに突き詰めていったら、
日本風のダサい、則巻千兵衛やアラレちゃん
に行き着いた、と教えてくれる。

偶然ヒットしたのではなく、
文字通り、編集者である鳥嶋さんと
二人三脚で「狙って」生み出したもの。

で、興味深いのは、この続きで、、、


結局、ヒット作はその人の「描けるもの」からしか出てこないんです。それは作家の中にある価値観であり、その人間そのものと言ってもいい。これをいかに探させるかが大事で、そのために編集者は禅問答やカウンセリングのように色々なことを対話しながら、本人に気づかせていくんです。


という鳥嶋さんの言葉。

世間に評価される、売れるっていうのは、
「描けるもの」からしか生まれない、と。

価値観や作家の人間そのものと言っているあたり、
僕らのわかりやすい言葉に翻訳すると
ロマンやMSPということになる。

そのための禅問答やカウンセリングというのも
言い得て妙で、編集者である鳥嶋さんがこれを描いてくれ、と
指示をしているわけでも、オーダーしているわけでもなく、
作家に気づいてもらうプロセスを経ているということ。

実際に自分の周りをみていても、
表面的な会話やリサーチで
根をあげている人が多くて、
もっともっと深くいけるのにって
いつも感じる。

しかも、パートナーに対しても
単にあれやって、これやっといて
と言うだけで、対話の姿勢が見られない。

そこにはリスペクトも愛もない
単なる作業で丁寧さが欠如している。

将棋の一手を何時間も何日もかかって
考え込む棋士のように、、、

トルストイやジョンロックの言葉ひとつに
何時間もかけて思考を潜らせる
マスタークラスメンバーのように、、、

対話というのは、自分が思っている
限界の向こう側に行こうとしないと生まれない
と僕は思っている。

大切なのは相手と対話する姿勢。

だから、鳥嶋さんはこんなことも言っているね。


結局は、一つの言いたいことを繰り返し作家に言うことに尽きると思うよ。ただ、その届け方も毎回変えていかなきゃいけないし、大変な作業だよね。だから、僕は「編集者は沢山の人間と付き合うべきじゃない」と言うんです。作家と話せる時間は限られていて、だからこそ自分が選んだ人間と深く付き合う必要があるんだよ。


と。

アドラーの教えにもある
世の中をみているのは自分次第であったとしても
相手を選ぶことができるよねっていう話にも
通ずるだろう。

付き合う相手を選ぶこと。

そして、深く時間をかけて対話すること。

大切なことだね。

長くなってしまったので、
このへんで。

また明日。


島田晋輔

PS)

では、せっかくだからドラゴンボールの曲でも、、、


いいコード進行だね。

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