これは手塚治虫「アドルフに告ぐ」の個人的なお気に入りのシーンのひとつ。
スパイ容疑で逮捕されそうになった息子に
真相を確かめ、父親自らの手で射殺。
大佐という立場の保身、地位のため。
息子の名誉のため。
家族という全体を守るための判断ともとれるし、
親からのせめてもの情け、
お父さんなりの優しさ、愛情だともとれる。
この時代にスパイ容疑で捕まったら、
拷問を受けての死刑だったから、
一種の介錯のような物だったろうという意見もある。
腹を切る息子を苦しませないために。
解釈はいろいろ。
自分や家族を守った。
拷問から息子を逃した。
軍人として逆賊を討った。
どれかかもしれないし、どれもかもしれない。
躊躇のなさ、スピード感から
男と男のけじめだという人もいる。
愛情よりも面子が上回ったと一元的にみてしまうと
それはそれでちょっともったいない。
いろんな解釈ができるし、
メッセージもある。
時代背景もあるしね。
興味深いのは、漫画とはいえ、
これは実際にあったゾルゲ事件というものが
元ネタになっているというところ。
僕らの住む日本で本当にあったこと。
現代では受け入れがたいかもしれないけど、
実際にこういう時代だったんだよなあ、と。
父親に射殺された芳男は以前想いをよせる三重子に
こんなことを言っている、、、
同じ日本でも時代が違うとここまで違う。
同じように僕らが迎える未来も今の日本といろんな事情が異なってるだろう。
歴史をみる。
時代をみる。
そうすると、未来もよりみえやすくなる。
今日はこのへんで。
また明日。
島田晋輔
PS)
そうそう、このシーンには3人のアドルフが登場しないけど、
なんとゾルゲのミドルネームもアドルフなのだとか!
すごい構想力。
PPS)
今日の一曲はこちら、、、
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