道場生の中に、世間を渡る上で「ちょっとしんどい目にあうだろうな」と思うT君がいます。彼は社会的な基準からすれば、いろいろな能力が足りていないと思われているタイプです。でも、私は彼といるといつも勉強になります。
先日、T君を含めた数人で温泉旅行に出かけたのですが、その道中、彼には旅の撮影係をお願いしました。すると彼は行きの電車の中でずっとカメラを抱え、撮影のことばかり気にしていました。
旅館での夕飯時、中居さんに「飲み物は何にしましょう」と聞かれ、彼は「タンサンをお願いします」と言いました。それは、コーラだとかの炭酸飲料のことではなく、カメラのバッテリーに必要な単三電池を注文したのです。私は思わず吹き出してしまいました。
彼は日ごろからこんな調子ですが、だからといって、「俺がなんとかしなきゃ」とは思いません。彼はそのままの彼でいてくれることで、周囲をなごませてくれたり、楽しませてくれるからです。
世間の「できる」「できない」の基準で彼を見るのではなく、彼の人間的な魅力を周りのみんなが感じていればそれで十分だと思うのです。
T君は幼い頃から親に、
「このバカ、そんなことやっていたら人に笑われる人間になるぞ」
とよく言われていたようです。その影響なのでしょう。私と初めて会った頃、周囲から笑い声が聞こえると、
「自分が笑われているんじゃないか。バカにされているんじゃないか」と感じ、とても笑い声を怖がっていました。冗談のひとつも口にできないほど、人が笑うのを恐れていたのです。引用:「育てない」から上手くいく
これは、桜井章一さんの著書からの引用。
子どもが生まれる前から愛読している
一冊で親となった今でもよく読み返している。
「教育」に関するオススメの一冊は?
と聞かれたら迷わずこれをすすめるだろう。
「育てない」から上手くいく
タイトルからして桜井章一さんっぽいけど、
実体験を交えて、桜井章一さんの等身大のことばで
子育てや教育について書かれている。
他の子どもと比べるのは愚かである
という今日のブログタイトルもこの本の中の小見出しだけど、
他にも、、、
「育てる」でなく、「気づき」があればいい
「ちゃんと」育てないことが大事
早期教育は子どもをブロイラー化する
放任主義ではない放り方がいい
育てる時期には旬がある
「愛」より「本能」で子どもに触れろ
親のダメな面を隠す必要はない
「しつけ」も「叱り」もいらない
あえて「しつけ」はいらない
子どもを叱るべきところで逆に感謝する
「人に迷惑をかけるな」なんて親は言えるのか?
子どもに多くを背負わせない
人は「自立」などできない生き物である
「やればできる」は親のズルい駆け引き
「おまえのため」を親を吐いてはいけない
「卑怯」を教える
「二度とするな」は嘘をつくる
などなど。
これだけでもエッジが効いていて
主張になっているというのも
興味深い点。
桜井章一さんの思想や生き方の
親や子どもなどをわけずに、
人間全体として捉えているところに
深く共感する。
座右の書としているくらいなので、
僕もこの本から影響を強く受けている。
先日、帰省したときに父と二人で
話す機会があったのだけど、
父も桜井章一さんの考えに近くて。
教師をやっているのだけど、
進学校に勤めたこともあれば、
養護学校や夜間の学校にも勤めていた。
で、教師の立場として
経験からその違いを聞いてみたんだけど、、、
進学校の場合は、できる子をよりできるようにするのに対して、
養護学校や夜間の学校は、できるところを見つけてそこを
育んでいくというスタンスだったと聞いた。
ちょうど冒頭で引用した
T君のエピソードみたいな感じだね。
僕も仕事柄いろんな人から相談を受けたり、
アドバイスをしたりすることがあるけど、
基本的にはその人の個性を伸ばすように、
その人らしさを損なわないようにという
接し方だ。
プロデュースやプロモーションもいっしょで、
ある型にはめるのではなく、その人や会社が
どうすればより輝くかという視点が根底にある。
自分の思想や価値観の源泉は、
こういった父や桜井章一さんからの
影響が大きいだろう。
自分のルーツを見つめ直すって大切だよね。
あなたの座右の書はなに?
島田晋輔
PS)
今日の一曲も、4月17日の音楽イベントに
出演してくれるアーティストと共演したことのある
ひとの一曲で、、、
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