Walk on the Wild Side〜ワイルドサイドを歩こうよ〜

95%の屍を乗り越えてきたロゴデザインとネーミング

あるプロジェクトでの
デザインの話題で感銘を受けまして、
たいへん深い学びがありましたので、
シェア致します。

議論がより深まるようにと
叩き台としてご用意頂いた
ドラフト資料には、
ネーミングやロゴ案の提示がありました。

ネーミングに関しても奥深いものがありますが、
今回みなさんに共有したいのは
ロゴやネーミングのデザインについてです。

単なるロゴやネーミングのデザインとして
てきとーにそれっぽいものを
こしらえて実装しているのが
世の中の多くの実情かと思いますが、
世界で「一流」と呼ばれるデザイナーの仕事は
次元が異なります。

例えば、今回議論の叩き台として
ご用意頂いたロゴやネーミングのデザインは
フォントだけでも100種類から、
文字と文字の行間だけでも10タイプほどの候補から
選び抜かれたものだと教えてくれました。
(作り手が自慢気に話したのではなく、
こちらからヒアリングさせてもらって)

僕らが目にしたのはもちろんたった1つなのですが、
その1つが誕生するまで
95%の屍を乗り越えてきているのです。

しかも、これはまだ世に出る前の
提案の段階です。

ですから、実際に世に出て、
人々の目に触れるまでには
さらに多くの犠牲が伴うでしょう。

数億の精子のうち100万分の1の確率でしか
受精できないように、数多くの淘汰の中から
生き抜いたたった1つの創作物しか日の目をみません。

無限なるものを有限なるものに
閉じ込める所業ですから、
そこに作り手のエネルギーと魂が
込められています。

このように誕生した創作物は、
生命力と慈愛に満ちていて、
シンプルな中にも存在感があるのを
誰しもが認めることでしょう。

わかる人にだけわかるではなく、
わからない人にも何らかの爪痕を残す
そんなジワジワさせる仕事に
プロフェッショナルの矜持を感じます。

ただカッコイイというだけではありません。

重層的、立体的、戦略的に創られていますから、
ひとつひとつに理由と意味と必然性があり、
また記憶にも定着していきます。

文化的にも哲学的にも意義深く、
美しさがあります。

しかも、先ほどもお伝えしたように
これはあくまで議論が円滑に進むようにと
提案された叩き台であって、
まだ世に出ていないものです。

センスだけでもダメで、
知性と理性を兼ね備えていないと
できない仕事です。

ロゴやネーミングの完成形の前段階から
この基準ですから、
どれだけのスケール感のプロジェクトか
容易にご想像いただけるかと思います。

特に僕らのようにインターネットを介しての
コミュニケーションを行う場合は、
ちょっとした印象やイメージが誤解を生み、
独り歩きしてしまうことがあることを
承知しておかないといけません。

ウェブサイトを訪れた人が
無意識にどのような印象や感情を抱き、持ち帰るのか、
そして、その印象や感情を無自覚に第三者に広めていくのかは、
デザインによる社会的コミュニケーションの大きな役割かと思います。

ちなみに、この社会的なコミュニケーションを無視して
デザインをする人はデザイナーではなく、
オペレーターだと教えてくれました。

デザイナーを名乗ってはいつつも、
デザイナーではなく、実はオペレーターだという
似非デザイナーはたくさん存在すると思います。

僕らみたいに世に何かを発信している人間にとっては
相応の責任を伴うと最近痛感しております。

デザイナーをきちんと採用しているのか、
オペレーターと解った上で依頼をしているのか、
きちんとコミュニケーションを丁寧に行なっているのかは
自問自答しても怪しいところです。

ゴミを量産するくらいならやらない方が良い

というのはまさにそうで、自分はそういうつもりでなくても
悪意なく加担してしまっているというのは
よくある話です。

やっぱり魂込めてエネルギーを使って
生み出したものは伝わりますから。

誰にでも簡単に発信できるようになったからこそ、
美学と哲学を持って臨んでいきたいですね。

高い基準をもって。

島田晋輔

PS)

今日の一曲はこちら、、、



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