高松のカフェで後藤さんと話していたときのこと。
「おでんには太い大根が適しているのに
お客さんは細い人参を求めていることがある」
という話がでた。
かつて八百屋だった経験から
人と人とでやりとりする商売感覚というのが
染みついている後藤さん。
事実は小説より奇なりっていう言葉がぴったりなほど
公私ともになかなかドラマチックな人生を送っているけども、
だからこそエネルギッシュに行動してもいけるのかな
なんて感じた。
で、太い大根と細い人参。
これ八百屋での経験を例えて話してくれたものだけど、
ビジネス活動で相手の好みを考えずに
ただ自分の考えや想いで勝手にやってて
うまくいっていない人が多いというときの例え話。
ペルソナ設定が大切とか
リサーチが重要だとか
勉強して頭ではわかっているけど
ぜんぜん目の前のひとを見ていない。
で、一方通行になってしまう。
我を突き通してしまう。
型にハマったことしかできない。
でも、もしかしたらサラリーマンはそういう人種なのかな
なんていう意見もでた(別に悪い意味ではなく)。
プロの視点からみて、
おでんには絶対この太い大根の方があう
そう思っていても、なぜかお客さんは
細い人参を欲しがっている、、、
こういうことはよくあるのを僕も知っている。
後藤さんは相手が
個人でなくてもいっしょだと
言っていた。
たとえば、スーパーに卸す場合でも、
とにかく安い野菜を大量に並べたいところもあれば、
品質のよいものを厳選して並べたいところもある。
だから仕入れの段階でお客さんの欲求を踏まえて
野菜を仕入れていたという話をしてくれた。
これはミラノのサルトの河合さんも
同じようなことを言っていて、
生地を探している段階から
僕らお客さんひとりひとりの顔を浮かべながら
合いそうなもの探している、と。
いくら貴重なもので、品質のよいものでも
自分の好みだけで購入していても
意味がない。
ひとりひとりのお客さんのことを常に考えて
仕事していることが言動や人柄から
よくわかる。
高城さんもオーダーしている
沖縄でオーダージーンズを手がける國吉さんも
同じようなスタンス。
ひとりひとりの価値観やライフスタイルにあわせて
一本一本つくっていくというやり方。
これぞオーダーメイドって感じ。
なんかこう書くと後藤さんの八百屋でも
サルトの河合さんでも國吉さんでも
当たり前のことをしていて
当たり前のことを言っているようだけども、
実はこういった当たり前で素朴なことが
失われつつあるのかもしれない。
ネットで便利でなんでもできるし、
効率化をめざしてよりスピーディーに
なんでもシステマチックにやることを
良しとする風潮があるからね。
今出した結論は最適だろうか?
自分本位になって突っ走っていないか、
自分では正しいとは思っていても
実際は異なることがあるので、
もう一度、お客さんの顔をみてみよう。
後藤さんと話していて
あらためてそう思った。
では、今日はこのへんで。
島田晋輔
PS)
今日の一曲はこちら、、、
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