Walk on the Wild Side〜ワイルドサイドを歩こうよ〜

ハンナアーレントとリーガルハイ

昨日のブログの続き。

子どもの発達障害なんてない、
親が発達障害なんだという
FBの投稿から、
いったいどうしてそんな風な
社会になってしまったのだろう、
という話だったね。

このことを考えるときに、
ハンナアーレントの
「悪の凡庸さ」を思い出す。

アーレントは、早熟の天才少女だったみたいで、
16歳でカントを読破していたという。

師であるハイデガーとの
不純な恋愛も有名だけども、
アーレントからは
たくさんの学びや気づきをもらっている。

そのうちのひとつが、
「悪の凡庸さ」。

有名な著書「イェルサレムのアイヒマン」で
語られているこの視点。

ユダヤ人殺りくの幹部アイヒマンの裁判を傍聴し、
衝撃を受けるアーレント。

どんな悪魔なのかと思っていたら、
自分では何も考えない
単なる公務員だったということに。

悪魔でもなんでもなく、
ふつーのひと。

ここに驚きだったようで、
「エルサレムのアイヒマン」として発表。

アイヒマンは悪魔ではなく、
ふつーの役人だった、
むしろ、ユダヤ人評議会のリーダーたちが
存在し協力したためであるという感じで。

それはそれは僕らの想像を絶する炎上っぷりで。

出版社への抗議の電話、脅迫の手紙、
長年付き合ってきた親友との別れなどだけでなく、
ドイツのユダヤ人評議会が、
アイヒマンの本に向けて戦争を仕掛けるぞと警告したうえ、
スイスへ飛んでアーレントに会い、
本の出版を直ちに取りやめるようにと迫ったり、とか。

それにも屈せず、貫き通したアーレントはすごいね。

アーレントの映画、
終盤の大学での講義のシーンでは、

「考えることは自分自身との静かな対話である」

なんて言っている。

自分で何も考えずに、
周りに流されるだけ。

自分の知っている型にハマってなかったら、
特殊な人間として「病気」のフォルダに入れてしまう。

そういったものが、
「悪の凡庸さ」だと。

さてさて。

何年か前にリーガルハイという
ドラマがあった。

テレビをもってない僕でも知ってるので、
世間では人気だったのかな、
どうかはわからないけど、
「悪の凡庸さ」に通ずる同じようなテーマの回がある。

リーガルハイ2 第9話「ついに最高裁!例え全国民が敵でも必ず命を救う」

のなかで「膨れ上がった民意」という指摘をしている。

夫や愛人を毒殺した「悪魔の女」と言われる
安藤貴和の公判での弁護士古美角の弁論。 

YouTubeに動画が上がっていたので、
貼っておこう。

ネット上にあったので、
弁論を引用しよう、、、

「いいでしょう。死刑にしましょう、現場での目撃証言はあやふやだけれど死刑にしましょう。死刑にしましょう、被告人の部屋から発見された毒物が犯行に使われたものか確たる証拠は無いけれど死刑にしましょう。現場に別の毒物らしきビンが落ちていたと言う証言があるけれど気にしないで死刑にしましょう」

「証拠も証言も関係ない。高級外車を乗り回しブランド服に身を包みフカヒレやフォアグラを食べていたのだから死刑にしましょう。それが民意だ、それが民主主義だ、なんて素晴らしい国なんだ。民意なら正しい、皆が賛成していることならすべて正しい、ならば皆で暴力を振るったことも正しいんだ。私のパートナー弁護士をよってたかって袋だたきにしたことも民意だから正しいわけだ」

「冗談じゃない。冗談じゃない!!」

「本当の悪魔とは巨大にふくれあがった時の民意だよ。自分を善人だとと信じて疑わず、薄汚い野良犬がどぶに落ちると一斉に集まって袋叩きにしてしまう、そんな善良な市民たちだ」

「民意などというものによって人一人を死刑にしようというのならすればいい。所詮この一連の裁判の正体は嫌われ者を吊るそうという国民的イベントにすぎないのですから。おのれのつまらない人生の憂さ晴らしのためにね」

なかなか鋭い指摘。

アーレントの「悪の凡庸さ」と古美角弁護士の「巨大にふくれ上がった民意」

この2つは、昨日の子どもの発達障害、親の発達障害を
考える上での大切な視点になると僕は思う。

善悪という議論でもいいと思うけど、
アーレントも古美角さんも解決策の提示もいっしょで、、、

思考停止せずに、考えよ

というものだった。

常識や自分の見方を疑って、
静かな自己対話をする。

アーレントはこんなことも言っている、、、

「考えることは人間が強くなること」

強くなるために考えなくてはいけない。

長くなってしまったので、
今日はこのへんで。

また明日。

島田晋輔

PS)

アーレントの映画のトレーラーをどうぞ、、、



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